それでは、試合に先立ちまして、一分間のキスタイムを入ります。
両者、リングの中央へ。
リングの外から行われているアナウンスに従い、二人は背にしていたコーナーを離れ、リングの真ん中で向かって歩いて行き、お互いの肌が触れ合いそうな距離で立ち止まりました。さりなが、みゆきの肩越しに両腕を回してきたので、みゆきもすぐにさりなの身体に両腕を巻きつけました。
そしてさりながわずかに首を斜め前に傾け、二人の唇がぴったりと重なると、おもむろにゴングが鳴らされました。
カァァ──────ン!!
二人とも相手の身体に回した腕に少しだけ力を込め、お互いを引き寄せ合っています。さりなは、日焼け跡のまぶしい乳房をみゆきの身体に押し付け、わずかに身体を捩っているようです。
しんと静まり返ったジムの中は、二人が呼吸をするときに洩らす小さな声だけが聞こえています。
カァァ──────ン!!
唇同士は離れたものの、キスタイムの終わりを告げるゴングが鳴らされても、二人はしばらく相手の身体に回した腕を解こうとしませんでした。
やがて二人は、名残り惜しそうに腕を解き、少し満足そうな表情でそれぞれのコーナーに戻っていきました。
スタッフが二人にマウスピースを咥えさせ、いよいよここから、本格的に試合シーンの撮影スタートです。
ラウンド・ワン! カァァ──────ン!!
ゴングが鳴り、二人はファイティングポーズに構えて、コーナーから離れていきました。
さりなは、軽く身体を振りながら、みゆきに近づき、みゆきの顔に少しだけ届かない位置からジャブを出してきました。みゆきもそれに習って、さりなの腕が止まったことを確認すると、自分から同じようにジャブを振りました。
しばらくすると、さりなは、ガードの位置に上げたみゆきのグローブに、軽くパンチを当ててきました。
自分は受けのキャラだと自覚していたみゆきが、さりながパンチを出しやすい位置にガードを上げると、さりなは意を得たりとばかりに、そこを目がけて何発かパンチを打ちました。みゆきも、さりなが手を止めて受けに入ったと感じたときは、さりなの腕やグローブを目がけて、二発、三発とパンチを打ちました。
第一ラウンドの開始から一分ほど経ったころ、さりなは、みゆきのガードの上からパンチを当てて、そのまま両腕をみゆきの腋の下に差し込んできました。
みゆきが同じようにさりなに抱きつくと、さりはな右腕をみゆきの腋から抜いて、少しだけ身体をずらし、右手のグローブでみゆきの股間をさすり始めました。みゆきも自由になった左手のグローブをさりなの乳房に宛がい、乳首を弄りながら優しく揉み始めました。
二人は、しばらくの間、軽い打ち合いとエロ攻撃込みのクリンチを繰り返していましたが、あるとき、さりながパンチを何発か打ってから手を止め、顔から少しだけガードを外しました。
「このあたりに打ってきなさい。」というサインなのかなと感じたみゆきは、さりなの顔に当たらないように、右フックを振りました。するとさりなは、その動きに合わせて、顔をブンと右に振り、少しだけよろける演技をしました。
みゆきは、さりなのサインを感じ取れたことを嬉しく思いました。そして、さりなの演技のうまさに感心しました。
さりなが反撃に出てきたので、しばらくさりなのパンチをガードした腕で受けたみゆきは、試合前、スタッフから、「ダウンシーンは多い方がいいから、ラウンド一回ぐらいはダウンしてね。」と言われていたのを思い出しました。そして、みゆきが、さりなと同じように少し顔からガードを外すと、さりなはすかさず、それまでよりも大振りのパンチを振ってきました。
少し前のさりなの演技をお手本にして、一回、二回と、目の前を通り抜けるさりなのグローブの動きに合わせて首を振り、よろける演技をしたみゆきは、三発目のパンチに合わせてキャンバスに腰を落としました。
ダウン!! ワン、…… トゥー、…… スリー、……
あらかじめ、最初の二ラウンドぐらいはグラウンドにしないで欲しいとも言われていたので、みゆきは、ゆっくりと進んでいくダウンカウントがフォーまで進んだ時点でキャンバスから腰を上げ、再びファイティングポーズを取りました。
カァァ──────ン!!
みゆきのダウンから三十秒ほどが経ち、二人がクリンチをしながらお互いの身体をまさぐっているときに、第一ラウンド終了のゴングが鳴り、二人はそれぞれのコーナーに引き上げてきました。
インターバルの間の様子も、もちろんきっちりカメラに収められています。ストゥールに腰を下ろしたみゆきはスタッフに向かって大きく口を開け、マウスピースを外してもらいました。そして、ペットボトルから水を注いでもらって、うがいをするシーンを撮影中です。
一度ダウンしたものの、まだ一ラウンド分を消化しただけとあって、みゆきの表情や息遣いには、まだ少し余裕が感じられます。
さりなの方も、マウスピースを外してもらうシーンや、うがいをしているシーンを取り終えましたが、ここで撮影クルーはカメラを一旦止めました。
スタッフが二人の身体に霧吹きで水をかけています。やっぱり多少の汁気は必要のようですね。
二人の身体がしっとりと濡れたところで、撮影再開。マウスピースを咥え込むシーンをカメラに収めて、試合は第二ラウンドに入ります。
撮影は、第三ラウンドの中盤まで来ました。どうやら順調に進んでいるようです。
みゆきは、第二ラウンドに二回、このラウンドにもすでに一回ダウンしています。みゆきには、「ここでクリンチ」、「このパンチでダウン」、「ここで反撃」、のような雰囲気がわかってきました。さりながリードしてくれるので、みゆきは安心して演技に集中しています。
さりなの方も、みゆきにある程度反撃させて、第二ラウンド、第三ラウンドと、一回ずつダウンしています。さりなはサービス精神旺盛なので、ダウンした時に、結構大股を開いたりしています。
さて、第三ラウンドも残り一分を切りました。そろそろ『グラウンド』のダウンを、と、スタッフから指示されていた時間です。
優勢に試合を進めているさりなは、クリンチを解くと、まだロープを背負ったままのみゆきの股間を目がけ、大きく右腕を振り下ろしました。もちろんパンチは当たっていないのですが、みゆきは、「あうっ」と声を洩らし、その場に倒れ込みました。
ダウン!!
ワン、…… トゥー、…… スリー、……
カウントが進んでいく最中、みゆきは、両手のグローブで股間を押さえながら、キャンバスの上をのた打ち回っています。みゆきの顔は、いかにも苦痛をこらえているかのように醜く歪み、口からはわずかに呻き声が洩れています。
フォー、…… ファイブ。 グラウンド!!
ファイブカウントが経過したので、いよいよ一回目のグラウンドです。
少しだけ離れたところで待機していたさりなは、仰向けに倒れているみゆきに覆い被さり、股間に当てているみゆきの腕を跳ね除けました。そして、みゆきの乳首をしゃぶりながら、左手のグローブで、みゆきの股間をさすり始めました。
みゆきは、相変わらず表情を歪め、適度に嫌がる素振りをしながら、さりなのエロ攻撃をきっちり受け止めています。
カァァ──────ン!!
おっと、残念ながらここで第三ラウンド終了のゴングが鳴ってしまいました。
立ち上がったさりなは、まだ倒れたままのみゆきに一瞥をくれてから、赤コーナーに戻り、ストゥールに腰を下ろしました。みゆきもゆっくりと上体を起こし、キャンバスに腰を落としたまま何度か大きく呼吸をしたあとに立ち上がり、少し頼りない足取りで青コーナーに戻っていきました。
AVモデルさんにしては、二人とも上々の演技をしてくれているということで、撮影監督さんもかなり満足そうです。