ロクシーを一ラウンドKOに屠ってから数日経ったある日、ヒルダは自宅でPCの前に腰を下ろし、「RUMBLE-X」の公式サイトを眺めていた。

 興行スケジュールのページからのリンクで、二週間後に行なわれる、世界ランカー同士の試合が何試合か組まれているボクシングオンリーの興行のポスター画像に行き当たったヒルダの視線は、そこに載っている、ある選手の写真に釘付けになった。本人も相手もまだ世界ランクに入っていないらしく、前座に近いところで組まれている試合なので、写真自体は小さいものだったが、その娘が、ヒルダの一番のお気に入りであるアジア系の顔立ちであり、これもヒルダの大好物である大きな乳房であることは、ヒルダにははっきりと見て取ることができた。

 ヒルダはさっそく、そのビビアンという名の選手のことを詳しく調べてみることにした。そして、ビビアンのプロフィールページに辿り着いたヒルダは、そこに掲載されている何枚かの写真画像を見て、心をときめかせた。

「この娘のおっぱい、なんて素敵なのかしら。…… それに、お顔も、私の好みにピッタリだわ。……」

 念の為、ヒルダは、その興行でビビアンと対戦する相手の選手についても調べてみた。すると、その選手にはすでに二十数戦のキャリアがあり、いずれも敗戦に終わっているものの、過去に二度、世界ランク入りしている選手と対戦した経験があることもわかった。

「…… ってことは、もしこの娘が今度の試合に勝ったら、ライト級トップテンの下ぎりぎりぐらいの評価になりそうね。それなら、事務局に希望を出せば、この娘と試合を組んでくれるかも知れない。…… こうしちゃいられないわ。この娘の試合、絶対にナマで見ておかなくちゃ。」

 ヒルダはすぐにRXの事務局に連絡し、この興行のリングサイド席と、興行当日、近くにあるホテルの部屋を一泊分確保して欲しい旨を、担当者に告げた。


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 ジェニーに勝ってから三ヶ月ほど経ったその夜も、ビビアンは、自分より少し格上と見られていた相手を第四ラウンドでキャンバスに沈め、デビュー戦以来続いている、五ラウンド以内の連勝記録を六に伸ばした。

 リングサイド席に陣取り、ビビアンの試合の一部始終を見届けたヒルダは、相手から奪い取ったトランクスとビキニボトムを手に、勝者のポーズを取るビビアンに、熱い視線を向けていた。

「この娘、本当に苛め甲斐がありそうだわ。…… ああ、早くこの娘と試合がしたい。…… こんな気持ちになったのは、T国人のキックボクサーのお嬢ちゃん以来のことかしら。……」

 その夜、事務局に取ってもらったホテルに戻ったヒルダは、すぐに着ている物をすべて脱ぎ捨ててベッドの上に横になり、ビビアンとの試合のシーンを思い描きながら、長い時間自慰に耽った。


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「うわぁ。…… ヒルダさんかぁ。……」

 デビューから六連勝を飾った試合の三日後の朝、RXの事務局からのメールで、ヒルダから試合の申し出が来ていることを知ったビビアンは、少し困惑した声を上げた。

 前の試合に勝ったことで、ビビアンは、そろそろ世界ランカーとの試合を組んでもらえるのではないかとうすうす感じてはいたが、実質ライト級実力ナンバーワンであり、一階級上のチャンピオンでさえ一ラウンドKOに下したヒルダが相手となると、さすがに二の足を踏まずにはいられなかった。

 ビビアンは、その日一日中悩んだが、日が暮れる頃には、ヒルダとの対戦に、かなり前向きな姿勢になってきた。

「チャンピオンを目指すなら、いずれは本当に強い人と対戦しなきゃならないんだから、ここで逃げてもしょうがない。…… たとえ負けても、いい試合ができれば、それなりに評価も上がるはすだし、もし勝つことができれば、夢にまで見たチャンピオンベルトに、大きく近づくことになる。これは絶好のチャンスなんだ。……」

 結局、ビビアンは、ヒルダからの申し出を受けることに決め、ベッドに潜り込んだ。そして次の朝、ビビアンは、対戦OKのメールをRXの事務局宛てに送った。


 正式な試合契約を結ぶに当たり、ヒルダは、陵辱オプションをつけることを希望するかどうかを真剣に悩んだが、さすがにそこまで露骨な申し出をして、ビビアンに逃げられてしまっては元も子もないと考え、ボトムウェアなしの契約ということに止めておいた。そして、ビビアンがこれを了承したことで、この試合は、二ヵ月後に予定されている、ヒルダの住んでいる街から比較的近い都市で開催される興行に組み込まれることになった。


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 ビビアンとの試合が行なわれる前の晩、その日一日の予定を終えて、自宅の寝室に引き上げてきたヒルダは、羽織っていたバスローブを脱いで、壁に取り付けられた大型モニタの電源を入れた。そして、ビビアンのことを知ってからすぐに入手した、ビビアンの試合が録画されているディスクの中から、一番のお気に入りになっている、『ジェニー×ビビアン戦』の映像が納められているものをプレイヤーにセットしてリモコンの再生ボタンを押し、ベッドの上にごろりと横になった。

「この金髪娘もバカよねぇ。…… ビビアンちゃんのおっぱいを狙い撃ちしたいってのは、見ればわかるけど、それならそれで、もっとやり方ってものがあるでしょうに。…… でもまぁ、この娘の実力じゃ、これが精一杯かも知れないわね。うふふふ。……」

 ヒルダは、そんなことを思いながらモニタに映し出されている映像を眺めていたが、ジェニーのパンチに歪むビビアンの大きな胸の膨らみが何度もモニタに映し出されると、いつものように、ヒルダの手は勃ち始めた乳首に、そしてもう片方の手は、潤みを帯びてきた股間へと伸びていった。

 しばらくの間、ビビアンとジェニーの試合をオカズにして、身体の敏感な部分を弄くっていると、ヒルダの息遣いは徐々に荒くなり、全身からじっとりと汗が滲み出てきた。

 透き通るような白い肌がほんのりと赤味を帯びてくる頃には、ヒルダの口から、わずかに喘ぎ声が洩れるようになった。

 すでに、ヒルダの頭の中は、リングの上でビビアンを弄ぶという妄想で、はちきれんばかりになっていた。

 ヒルダは、ビビアンの試合の模様が映し出されているモニタから視線を切り、目を閉じた。そして、眉間に皺を寄せ、他人に見せたことのないような切ない表情を浮かべて、敏感な部分に這わせている指の動きを早めていった。

 …… あの娘のおっぱい、いったいどんな感触なんだろう。…… あの娘は、リングの上で、どんな呻き声を聞かせてくれるんだろう。…… ああ、…… 早く、…… 早く、確かめたい。……

 激しく昂ぶったヒルダの身体は、まもなく頂点を迎えつつあった。そして、女性自身の奥深くに差し込まれたヒルダの長い指が肉襞に強く擦りつけられると、ヒルダの意識の中で、バチンという音と共に火花が散った。


 女性であることの最高の瞬間に上り詰めたヒルダは、しばらくの間、その余韻を満喫した。ヒルダの全身にはかすかに痙攣が走り、びちゃびちゃに濡れた股間から抜け落ちたヒルダの指は、ねっとりとした熱い蜜にまみれていた。

 やがて、ヒルダは、上体を起こしてベッドの脇に置かれているテーブルの上からリモコンを取り上げ、モニタとプレイヤーの電源を切った。そして再び、ベッドの上に横になり、全身の力を抜いた。

 …… 今夜も、本当に素敵なアクメを迎えることができたわ。…… ありがとう、ビビアンちゃん。……

 心の中でそう呟いたヒルダは、ほどなくやってきた睡魔に身を委ね、心地良い眠りへと落ちていった。