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 これは、女園四峰シリーズ・第四話、「潤子vs百合/裏」の分岐続編です。まだ、女園四峰シリーズを「潤子vs百合/裏」まで読み進まれていない方は、このページをお読みになる前に、そちらをご覧になることをお薦め致します。

 なお、女園四峰シリーズは、第四話のあと第五話へと続きますが、このページの内容は、第五話へはつながりませんので、この点は、あらかじめご承知おきください。




















潤子と百合


〜 女ボクサーたちの愛のかたち 〜




 長い間、潤子は百合の手を取り、百合の顔を見つめていた。

 百合の、端正な顔立ちには不似合いの、腫れて赤黒くなってしまった左の瞼が、潤子の目に映っていた。


 ボクシングは楽しい。でも、試合が終わったあとには、少なからず身体にその代償が残ってしまう。

 そして、女性の命である顔に、その代償は嫌でも表れる。


 リングの上で殴り合うときには、もちろん何も感じない。しかし、リングを離れ、ボクサーから二十歳の娘同士に戻って相手を見ると、百合の顔に残っている闘いの代償は、潤子の目には、あまりにも痛々しく映った。

 これは、自分が殴った痕だ、と思うと、潤子はとてもいたたまれなくなった。


 潤子が、百合の顔の方に腕を伸ばし、指先で百合の腫れた瞼に触れると、百合は、痛みに少しだけ顔をしかめた。

 潤子は、「あっ」と小さな声を洩らし、その指を引っ込めた。

 百合の反応は、潤子の心を針で刺したように、鋭く刺激した。

「…… 百合ちゃん、…… ごめんね。」

 潤子が俯き、少し涙声でそう言うと、百合は優しい眼差しで潤子を見つめ、口を開いた。

「三崎さ …… 潤子、いいのよ。ボクシングの試合をして負けたんだから、顔にその痕が残ってしまうのは当たり前でしょ。私の身体のことは、何とも思わなくていいの。」

 百合の優しい言葉、それは、潤子の心に広がっていく罪悪感に拍車をかけた。

「でも……。」

 潤子の顔は、どんどん泣き顔になっていった。

 少しでも百合を癒してあげたい。

 少しでも早く、百合の顔を、元通りの綺麗な顔立ちに戻してあげたい。


 潤子は、自分の顔を、ゆっくりと百合の顔に近づけた。

 潤子の目から、一筋の涙が流れ落ちた。


 潤子の舌の先が、百合の腫れた瞼に触れた。

 百合は、「潤子……」と呟き、目を閉じた。

 潤子は、百合の顔に残された闘いの傷痕に、舌を這わせ始めた。



 ぴちゃぴちゃと音を立てて、潤子は、百合の腫れた瞼を舐め続けた。

 潤子の心の中に、どんどん百合の存在が入ってきた。


 しばらくたって、百合から顔を離した潤子は、百合をじっと見つめた。

  …… 百合に近づきたい。…… 百合を感じたい。……

 潤子は、その欲求に耐え切れず、少しだけ唇を震わせたあと、小さな声で言った。

「百合ちゃん、もっとそばに寄ってもいい?」

 百合は小さく頷くと、少しだけベッドの中央へと身体をずらした。




 百合が薄手の布団に手をかけると、ほんの少しだけ、潤子の目に、百合の身体の横側が映った。百合は、何も身につけていないようだった。

 潤子は、百合が裸のままベッドの中にいることに気付くと、すぐに上着を脱ぎ始めた。ジャケットを脱ぎ終わった潤子は、椅子から立ち上がり、白いブラウスの袖からも、腕を抜いていった。

 潤子は、上半身にスポーツブラ一枚だけの姿になると、ジャケットとブラウスをきちんと折りたたみ、それまで腰掛けていた椅子の上に置いた。

 潤子は、少し泣き顔のまま、スカートを止めているボタンにも手を掛け、それを膝の下まで下ろし、片足ずつ抜くと、手にしたスカートも折りたたんで、ジャケットとブラウスが置かれている椅子の上に、そっと重ねた。

 潤子が、百合の方を見遣ると、百合は優しい眼差しを潤子に向けていた。

 潤子は、下着姿で百合の顔を見つめたあと、しばらく俯いていたが、やがて大きな乳房を覆っているスポーツブラにも手をかけて、それを脱ぎ去った。

 そして、百合のいるベッドの上に手をつき、片膝をベッドの上へと滑らせた。


 女学生二人には不釣合いな、ホテルの最上階にある、豪華なスイートルーム。激しい闘いを終えて、その末に心を通わせ合った二人は、その肉体までをも寄り添い合わせようとしていた。




 百合は、潤子がベッドに入ってくることを悟ると、さらに潤子のために、身体を潤子とは反対側へと動かした。そのとき、百合の手によって布団が捲られると、潤子の目の前に、百合の乳房があらわになった。

 百合の乳房にも、潤子に殴られた痕が、赤くくっきりと残っていた。


 ベッドの上に両手と両膝をついた潤子は、反射的に目を瞑った。

 潤子の頭に、百合の乳房を力一杯殴りつけたシーンが蘇った。

 いかにルールで許されているとは言え、女の子のおっぱいを、力一杯殴りつけるなんて。……

 再び開かれた潤子の目から、大粒の涙が溢れ、潤子の頬を伝った。


 潤子は、百合の美しい肉体に刻まれた傷痕に顔を近づけた。

「…… ごめんね。…… 百合ちゃん、ごめんね。……」

 完全な泣き声になってそう言うと、潤子は顔を百合の乳房にうずめ、百合の乳房を舐め始めた。

 潤子の頭の中は、罪悪感で一杯だった。

 精一杯の「ごめんなさい」を百合に伝えたい、とでも言うように、潤子は、涙を流し、時折洟をすすり上げながら、百合の乳房を優しく舐め続けた。




 百合は目を閉じ、潤子の頭を軽く抱えて、懸命に自分の乳房を舐める潤子の慈しみを感じ取ろうとしていた。

 しばらくして、潤子の舌先が、百合の桃色の乳首に触れると、百合は、その快感に、「あ …」、と小さな声を洩らした。

 潤子は百合の声に反応し、百合の乳房から顔を離した。相変らず目に涙を溜めて、百合の顔を見つめている潤子に、百合は精一杯の笑顔を向けた。

「ありがとう、潤子。…… 嬉しかった。……」

 百合がそう言うと、潤子は涙を溜めたまま、表情をほころばせた。

 そして、百合は、潤子の頬に手を伸ばし、優しく撫で始めた。潤子は百合から視線を外して、小さく首をすくめた。

 潤子は、しばらくの間、百合の指先の感触に浸っていた。やがて、百合が呼吸する気配を身体の近くに感じた潤子が、再び百合の方に視線を向けると、すぐそこに百合の顔があった。ほんの少しだけ唇をすぼめ、潤子の顔に徐々に自分の顔を近づけている百合の視線は、潤子の唇に向けられていた。

 潤子が百合から自分の顔を遠ざけようと、ゆっくりと後ろに動くと、百合はその動きを追ってきた。

 やがて、潤子は動くのをやめ、少し震えながら、百合の方に顔を向けて、目を閉じた。潤子の動きを感じ取ると、百合も、小さく息を吐き出したあと、潤子の唇に自分の唇をそっと重ね、目を閉じた。


 潤子と百合。二人を包む時間の流れが、少しの間止まった。

 二人は、まったく身動きをしないまま、お互いの唇の柔らかさを感じ合っていた。




 二人の唇が離れると、潤子は百合から顔を背け、手の甲を唇に近づけて、唇を拭う仕草をしようとしたが、その動きは直前で止まった。潤子は手を唇から離し、再び百合の方に視線を向けて、力なく微笑んだ。

 潤子の視線の外で、百合の左手が、潤子の乳房に触れた。

 潤子は、小さな声を洩らし、百合に背を向けた。

 身体を丸めて、背を向ける潤子に、百合が語りかけた。

「潤子、……… 今度は私が、潤子を愛してあげる。」

 潤子には、百合が何をしようとしているのかを感じ取ることができた。百合の指が、潤子の乳房を這い始めると、潤子はさらに身体を丸め、消え入るような小さな声で答えた。

「…… 私は、…… 私はいいよ。……」

「大丈夫。優しくしてあげる。…… だから、…… 潤子を愛させて。……」

 百合の言葉を受け取った潤子は、身を固めたまま黙っていたが、やがて少しだけ身体の力を抜いた。それを感じ取った百合は、ベッドと潤子の身体の隙間から右手を差し入れて、潤子の背中に自分の身体を密着させた。百合の右手は、力なく身体の前で交差している潤子の腕の中に入り込み、やがて、空いているもう一つの潤子の乳房を包み込んだ。

 百合の指は、だんだんと潤子の乳房を優しく揉みしだくような動きへと変わっていった。時折、百合の指先が潤子の乳首を刺激すると、潤子は荒く息を吐き出した。

「何て柔らかい、素敵なおっぱいなのかしら……。」

 潤子の、両の乳房の頂きにある桃色の突起は、すでに硬くなっていた。

 潤子の呼吸は、だんだん荒くなっていった。そして、小さな喘ぎ声が、潤子の口から洩れ始めた。




 潤子には、自分のショーツが濡れ始めていることが、はっきりと自覚できた。そして、乳房から離れた百合の指が、潤子の下半身の方へと移り始めていることも、潤子は感じていた。

 必死に身体の昂ぶりを堪えようとしている潤子は、耳まで真っ赤になっていた。その潤子の耳たぶに、百合が舌を這わせると、潤子は、「ああん」と喘ぎ声を上げた。


 百合の指が潤子のショーツに到達する頃には、潤子は、身体を突き抜けていく快感に、身を委ねることしかできなくなっていた。

 百合の指が、ショーツの上から、潤子の恥ずかしい部分に触れた。

「いっぱい濡れてるよ。潤子。」

 百合の言葉にも、もう潤子は答えることができなかった。

 赤く、そして熱くなっている耳から、そして、ぴんぴんに勃っている乳首と、濡れたショーツの上から、百合の優しい刺激がダイレクトに伝わってくる。

 潤子は、身体の昂ぶりを抑えることができなくなっていた。

 そして、百合の指が、潤子のショーツの中へ滑り込もうとした瞬間、潤子はひときな大きな喘ぎ声を上げ、びくんと身体を痙攣させた。


 潤子は、頂点に上りつめてしまっていた。




 潤子は、百合に背を向けて、身体を丸めたまま、生まれて初めて経験する快感の余韻に浸っていた。

 百合は、潤子の身体の敏感な部分から唇と指とを離すと、潤子の方へ身を乗り出し、潤子の髪を優しく撫で始めた。

 しばらくすると、百合は潤子の耳元で囁いた。

「…… 良かったのね。……」

 潤子は、しばらくそれに答えず、じっと身を固めたまま、はあはあと、わずかに呼吸音を立てていたが、やがて、コクリと小さく頷いた。


 百合は、潤子の横顔を見つめ、嬉しそうに微笑んだ。




 しばらくすると、潤子は背を向けていた身体を百合の方に向けた。百合は、潤子の身体を包み込むように腕を回し、潤子の額に自分の頬を軽く押し当てた。
潤子は、幸せそうな表情で、百合の感触を感じていた。


 「友達になってもらえないか」という、百合の気持ちを受け入れてから、まだ一時間もたっていない。それなのに、すでに唇を重ね合い、あまつさえ、身体まで快楽の頂点を経験してしまった。

 それでも潤子には、百合との関係が不自然だとは感じられなかった。


  …… 百合との出会いは、私の運命。……

  …… 自分と百合とは、ずっと前から、すでに運命の糸で結ばれていた。……

 潤子には、そう思えた。



 百合は頭の位置をずらして、潤子の頬に軽くキスした。

 もう一度、百合が潤子の頬に唇で触れると、潤子はすくめていた首を伸ばし、百合の顔に視線を向けた。そして、目を閉じ、ねだるように半開きの唇を百合に差し出した。

 百合は表情を崩すと、潤子の求めに応じるように、顔を近づけ、潤子の唇に自分の唇を重ねた。

 初めてのときよりも遥かに濃厚なキスは、長い間続いた。百合が顔の位置をずらしながら潤子の唇を激しく求めると、潤子は百合の頭を強く抱いて、百合の唇を求め返してきた。


 しばらくして、一度目のときより遥かに長い二度目のキスが終わると、上を向いた潤子の横で、百合が身体を起こし、潤子の下半身の方へと、頭を移動させた。

 潤子は百合の動きを目で追っていったが、百合が濡れそぼった潤子のショーツに手を掛けると、潤子は恥ずかしさに顔を紅潮させて、百合の手首と自分のショーツの端を掴んだ。

「…… 百合ちゃん。…… だめ。…………」

「潤子、…… もう私たちは一つになったの。……… 恥ずかしがることなんて、何もないのよ。」

 百合は、それだけ言うと、潤子の純白のショーツの、大きな濡れ跡の部分に唇を擦りつけ、舌を這わせ始めた。

 百合の唾液と、潤子の蜜によって、身体にぴったりと貼り付いた潤子のショーツの上には、潤子の女性自身がくっきりと浮き出ていた。百合が一旦そこから顔を離すと、わずかな丘状のふくらみの真ん中にある一筋の亀裂まで、百合の目にははっきり見て取ることができた。

 百合は、硬くした舌先を目の前の亀裂に沿って動かしたあと、再び唇を潤子の濡れたショーツに押し付けた。

 潤子が何度か喘ぎ声を洩らすと、百合は、潤子のショーツに掛けていた指を潤子の膝の方へと動かした。すでに潤子の指からは力が抜けていた。

 身体を覆っていた最後の着衣が、太股から膝、そして足先までを通り抜けていく感覚に、潤子は「ああぁ …」と、切ない声を上げた。


 ついに全裸になってしまった潤子は、恥ずかしさにわずかに身を震わせていた。百合は、剥ぎ取ったショーツを潤子の傍らに置くと、顔を潤子の乳房のあたりに近づけた。

「私、もっと潤子が欲しい。…… 今度は、さっきよりも激しく、潤子を愛してあげる。……… だから、私に潤子をちょうだい。」

 潤子は、百合の顔を見つめたまま、すぐには答えなかった。百合がさらに顔を潤子の乳房に近づけて、舌先を覗かせ、潤子の方へ顔を向けると、潤子は目にうっすらと涙を浮かべて、小さく頷いた。

 百合は、「大丈夫。心配しないで」というような優しい眼差しを潤子に送ると、舌先で潤子の乳房に軽く触れたあと、口を大きく開けて、小さめの乳輪までをも完全に覆い尽くすように、潤子の乳房を口に含んだ。

 百合の舌先が、潤子の乳首の上を、何度も這った。その甘い刺激は、潤子の自制心を徐々に溶かしていった。潤子は息を荒らげ、喘ぎ声を上げて、再び訪れるであろう頂点へと、本能のままに身体を昂ぶらせていった。

 百合の左手は、潤子の右の乳房の上に置かれ、指先で乳首を弄んでいた。右手は、口に含んでいる潤子の乳房から上へと這い上がっていった。

 百合の指が潤子の唇に触れ、やがて百合の指が潤子の口の中へと入り込んでいくと、潤子はそれを受け入れ、さかんに舌を絡めてきた。


 百合の指が潤子の口から引き抜かれる頃には、潤子の身体はじっとりと汗ばみ、激しく火照っていた。

 潤子の口を離れた百合の指は、潤子の下半身を這い始めた。その指先が潤子の花びらに触れると、潤子は大きく身を捩った。

 潤子の頭からは、思考が吹き飛んでいた。そして、蜜まみれになっている潤子の女性自身は、まるで百合をねだっているようだった。それに応じるように、潤子の中に、百合の指がするりと入り込んだ。

 潤子は、ひときわ大きな喘ぎ声を上げた。

 潤子の身体のもっとも敏感な部分に、百合の指が触れると、今までに経験したことのない、稲妻のような快感が、潤子の身体を突き抜けた。

 涎がこぼれ始めている潤子の口からは、淫らな喘ぎ声が絶え間なく洩れ続けていた。

「…… 百合ちゃん。…… 私、…… もう、だめ。…… また、いっちゃう!……」

 百合の舌と指は、間近に迫っている潤子の絶頂に向けて、なまめかしく、そして激しく動いていた。

 そして、百合の指が潤子自身に強く擦りつけられると、潤子は獣のような叫び声を上げた。

 脳髄を破壊するような強烈な衝撃が潤子を貫き、潤子は再び頂点に達していた。




 潤子は激しく身体を痙攣させていた。そして、頂点を過ぎてもなお、潤子は、喘ぎ声を洩らし続けた。

 潤子は、きつく百合にしがみついた。百合も、潤子の身体の敏感な部分から身を離し、優しく潤子の身体を包み込んだ。

 潤子には、快楽の余韻に身を委ね、不規則にぴくぴくと身体を震わせている自分が、あまりにも破廉恥で、あまりにもふしだらに思えて仕方がなかった。

  …… こんな姿を百合に見られたくない。……

 狂おしいほどの恥ずかしさが、潤子を包み込んだ。潤子の目からは、とめどなく涙が流れ落ちていた。


 百合の瞳も、涙で潤んでいた。

 ボクサーとは思えないほど可憐で、限りなく敏感な潤子の身体。そして、一片の曇りも感じさせない純粋な心。

 百合の心もまた、潤子への愛おしさではちきれんばかりになっていた。

 潤子の身体に回されている百合の腕にも、力が込められた。

 百合は、潤子の頭に頬を擦り付け、呟いた。

「私はもう、潤子を放さない。…… 潤子は死ぬまで、私のもの。…… 私も死ぬまで、潤子のもの。……」




 何とか痙攣も治まり、百合の腕の中で百合の柔らかさを感じ取っていた潤子は、百合の大きな乳房に顔をうずめるようにして、小さな声で呟いた。

「…… 私、恥ずかしい。…… あんなに大きな声を出して、…… 百合ちゃんの前で、…… 百合ちゃんの指で、二回もいっちゃうなんて……」 

「でも、良かったんでしょう?」

「………… うん。……」

「それなら恥ずかしがることなんてないわよ。…… 女の子ならみんな同じ。……… 潤子、とても素敵だった。……」

 潤子は、百合の胸の中から顔を離し、涙を溜めた瞳を百合に向けた。

「…… 百合ちゃんもそうなの? …… 百合ちゃんも大きな声を出して、…… 身体を震わせて、いっちゃうの?」

「…… きっと、私もそうよ。…… 私だって、良ければ声を上げるし、今の潤子より、もっと淫らになるかも知れない。」

 百合がそう言って優しい微笑を潤子に向けると、潤子は切なそうな表情のまま、再び首をすくめた。潤子の目の前には、百合の乳房が広がっていた。

 潤子の脳裏に、百合に乳首を愛されたときの甘美な刺激が思い起こされた。潤子は震える口を開いて舌を覗かせ、百合の桃色の乳首に軽く触れた。


 百合が、快感に小さく息を吐き出すと、潤子は百合の乳首全体を口に含んで、舌先で百合の乳首を優しく舐め始めた。

 百合の口から、吐息と共に小さな声が洩れた。百合が興奮しているさまを感じ取った潤子は、空いている百合のもうひとつの乳首にも指を擦りつけ始めた。

「百合ちゃんも、ここが気持ちいいんだね。……」

 潤子が、さらに百合の乳首を刺激すると、百合の腕からは力が抜けた。潤子は、横向きになっていた百合の身体を押し倒すように上に向け、一心不乱に百合の乳房を愛し続けた。

 潤子の口の中で、百合の乳首はぴんぴんに勃ち、下半身は激しく疼いた。やがて、その疼きに耐え切れなくなった百合は、潤子から左腕をほどき、濡れそぼっている自分自身の中へと、中指を差し入れた。




 乳房と女性自身から伝わってくる激しい刺激に、百合は大きく昂ぶり、絶え間なく喘ぎ声を上げた。百合の変化に気付いた潤子は、両手の指で百合の乳首を撫でながら、百合の全身に視線を流した。そこには、腕を下半身へと伸ばし、自分の身体を慰めている百合の姿があった。

「百合ちゃん、自分でするなんて、ずるいよ。…… お願い、私にさせて。…… 私がしてあげる。………」

 潤子は百合の返事を待たずに、左手を百合の乳房から離し、その手を百合の下半身へと這わした。そして、潤子の指が百合の指を押しのけ、蜜にまみれた百合の中へと差し入れられると、百合の口から、「んぁはあぁ …」という切ない声が洩れた。

 潤子が、しばらく百合の中をまさぐっていた指を抜き取ると、それは百合の蜜できらきらと光っていた。

「…… 百合ちゃん、………… 百合ちゃんも、べちょべちょだよ。…… 気持ちいいんだね。…… もっともっと、気持ちよくしてあげる。……」

 潤子は、そう言うと、百合の身体を跨ぎ、百合の太股を抱え込んだ。そして、百合の中に深く指を差し入れ、やさしく動かした。

 百合の秘唇からは、潤子の指を伝って、あとからあとから熱い蜜が溢れ出てきていた。潤子は、百合の股間に顔をうずめて、百合の蜜を舐め取っていった。

 百合の目の前にも、蜜を滴らせている潤子の女性自身がさらけ出されていた。そして百合も、身体をもたげ、両腕で潤子の太股を抱え込んで、潤子にむしゃぶりついた。

 百合の舌を感じた潤子は、少し呼吸を荒らげ、百合の中に差し入れている指を激しく動かした。そして、百合の女性自身に直接舌を絡め始めた。

 二人は二匹の牝となって、互いの股間に顔をうずめ、互いの蜜を貪り合っていた。


 潤子の責めは激しさを増していった。

 百合は、自分が頂点のすぐそばまで来ていることを感じていた。そして、潤子の指が、百合のもっとも敏感な場所を擦り上げると、百合は叫び声を上げて、撥ねるように潤子の股間から顔を離し、潤子の身体の下で激しく身悶え始めた。もう百合には、泣き声にも似た喘ぎ声を堪えることができなくなっていた。


「…… あっ、…… はあっ、…… いくぅ。…… いっちゃう!…… いっちゃう!……」


 潤子は、百合の太股をがっちりと掴んで、暴れるように悶え続ける百合の下半身を押さえ込み、指と舌先で百合を激しく刺激した。


 やがて、頭の中が焦げるような、熱い刺激に貫かれた百合は、絶叫し、頂点に上りつめた。

 百合は、一度身体を大きく反り返らせたあと、自らの股間に両手を当てて、徐々に身体を丸めながら、激しく全身を痙攣させた。




 百合が頂点に達し、その余韻に激しく身を震わせている様子が、潤子には自分の姿に被って見えた。

 潤子はもう、一瞬たりとも百合から身を離しておくことができなくなっていた。潤子が、百合に摺り寄せるように身体を動かすと、百合は、潤子がそうであったように、潤子にきつくしがみついてきた。

 ようやく全身の痙攣が治まりつつある百合は、身体をぴったりと潤子に寄せたまま、泣き声で言った。

「潤子。…… 潤子を全部、私にちょうだい。…… 私も全部、潤子にあげる。」

「百合ちゃん。…… 私、もっと百合ちゃんとしたい。…… もう我慢できない。…… お願い、もっとして。…… もっと強く、…… もっと激しく、私を愛して。」

 潤子は両手で百合の頬を支えて、唇を開いたまま百合の唇に押し当てた。百合が潤子の唇を受け入れると、潤子はさらに激しく百合を求め、熱い唾液にまみれた舌をねじ込んできた。百合も大きく口を開けて、潤子の唇と舌を貪った。








 潤子と百合。



 二人の間には、もはや理性は存在しなかった。

 二人は、己の肉体の欲するままに相手を求め、貪り、快楽に身を委ねるだけの獣に身を堕としていた。







「潤子と百合 〜 愛のかたち」 了



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