このウインドウのタイトルを見ていただくと、この試合に出る二人の名前が、Mariko は 『鞠子』、Hiromi は 『紘美』 であることがわかると思いますが、これだけで、すでに小説コーナーにある『女園四峰シリーズ』を読破いただいた方は、すでにピンと来ていることでしょう。

 もちろん、この小説を書いたときには将来のポザ絵化なんて考えてなかったので、鞠子も紘美も、何となく頭の中にキャラのイメージが出来上がっていただけなのですが、Rumble-Xでレスリング絵を作っていたときに、「あー、とぷれすボクシング絵作りてぇ〜〜。」という衝動が来た時に、ふと思いついたのが、この『鞠子×紘美』戦でした。

 まだ小説を未読の方もいらっしゃると思いますので、ちょっと説明を。

 紘美は、この試合が行なわれる時点では、凛花女子学園二年生(大学と同じ年齢の設定だから、二回生と言う方が正しいか)のボクシング部員、鞠子は同じ学園の卒園生で紘美よりも三年先輩に当たる女性で、ボクシング部員ではありませんが、格闘技全般に長けた、謎の多い人物ということになってます。

 『女園四峰』の中には、この凛花女子学園を含んだ四つの女学園が定期的に試合を行なう『対抗戦』と、それとは別に、テイスト的には地下ファイトに近い『裏のリング』というものが登場し、この試合は後者で行なわれたことになっています。因みに、小説の中では、『鞠子×紘美』戦を、鞠子と紘美の関係を示すためだけに使ったので、描写も数行程度です。


 では、『鞠子×紘美』の舞台背景(思いっきり後ヅケですけど/汗)と、プロローグらしきものを少々。



 凛花女子学園の二年生でボクシング部員の西園寺紘美は、普段は温厚な性格の持ち主でしたが、ことボクシングに関してはとても貪欲で、私は誰にも負けないという強い自負と、もっと強い相手と試合がしたいという願望を抱いていました。

 七月の始めに行われる夏季対抗戦で早々にKO勝利を収めたあと、紘美は、『裏のリング』の存在を知りました。対抗戦の試合に物足りなさを感じていた紘美は、その話に飛びつきました。より強い対戦相手と試合ができるのであれば、上半身裸であろうが、負けたらトランクスを脱がされ、さらに惨めな姿を観客に晒そうが、そんなものはどうでもいいこと。…… 紘美はそう思っていました。


 園の夏休みが終わり、新しい学期が始まる一週間後に控えたある夜、紘美はロープをくぐり、漆黒のリングに足を踏み入れました。紘美は、リングに上がる前は、裸であることよりも、夏休み中のロードワークでくっきりとついてしまった日焼けの跡を見られるのが少し恥ずかしいと思っていましたが、パトロンから送られる声援に応えているうちに気分が高揚してきた紘美は、そんなことも気にならなくなっていました。

 やがて、反対側の金色のコーナーから、黒いグローブ、黒のトランクスとシューズを身につけた対戦相手が、リングに姿を現しました。『裏のリング』では、出場するファイターに、相手が誰なのかを試合が始まる前には伝えませんが、紘美はその夜、相手の顔を一目見ただけで、それが誰なのかを知ることができました。

「ふぅーん。…… 相手は、あの、荻野鞠子先輩か。……」

 前の年度にはまだ在園生だった鞠子は、ボクシング部員ではありませんでしたが、紘美は、鞠子がボクシング部の練習場に頻繁に顔を見せて、上級生とスパーをしているのを何度も見たことがありましたし、一度だけでしたが、自分のスパーリングパートナーを務めてもらったこともありました。

 ボクシング部員ではないとは思えないほど、基礎のしっかり出来上がったボクシングをするけど、それ以上のものではない。…… 紘美は、自分や上級生とのスパーを通じて、鞠子のボクシングにそんな印象を持っていました。

 紘美には、鞠子とのスパーを経験してから経過した約一年の間に、自分のボクシングのレベルが上がっているという実感もありました。鞠子先輩が相手なら勝てる。…… 紘美には、そんな自信がありました。

 加えて、紘美は、上級生のボクシング部員に、『鞠子は、ボクシングに限らず、格闘技全般において、園内に誰一人として並ぶもののいない、最強の人物だった』 ということも聞かされていました。

「鞠子先輩を倒せば、園内最強の称号は、間違いなく私のものになる。踏み台にするようで申し訳ないですけど、今夜は赤っ恥をかいてもらいますよ、鞠子先輩。……」

 紘美はそんな思いを頭にめぐらせ、パトロンたちが陣取る観客席に向かって、丁寧に頭を下げて挨拶をする鞠子の姿を、薄笑いを浮かべながら眺めていました。


 やがて、この試合を管理する『世話人』からの試合前の注意も終わり、試合開始のゴングが鳴りました。紘美は、相変わらず顔に邪な笑みを浮かべ、ゆっくりと鞠子に近づいていきました。

 このとき、紘美は、まだ知りませんでした。

 紘美や、他のボクシング部員とスパーを行っていたとき、相手の技量に合わせて、鞠子が自分の力を大幅にセーブしていたことを。

 そして、鞠子が、少し天狗になっている娘は、己の力不足を認識させるためにも、一度ボロボロに叩き潰されるのはとてもいいことだと考えていることも。……